サイズをチェック

役所により印鑑証明の規定には違いがあります。印面が8mmから24mmというのがおおよその範囲内です。はんこによって捺印する区画をはみ出しては書面としての見栄えが悪いでしょう。定められた大きさの中でならば、と自由度を設けたのは作り手の要望に応えただけに留まらず偽造防止にも一役買うのです。複雑な文字と大きさの組み合わせです。これによりいくらか複製が手間になるということです。

文字は姓と名の両方を刻みます。認印、訂正印は姓のみが一般的で、実印と銀行印はフルネームが好まれるのも偽造に対する予防、防止措置なのです。その分価格に上乗せすることは目に見えて明らかでしょう。安全を取るか価格を抑えるかはそれぞれの事情で異なります。

一般に、男性は大きめ、女性はそれよりも小さい印面を選ぶ傾向があります。17mm前後が男性で、女性は15mm前後を選ぶ方が多いです。ポールペンが10mmに満たない程度ですから、女性はそれよりも多少大きいくらいの直径を、男性はさらにしっかりとした感触のものが人気です。もちろん大きな文字が見やすいし映えるとも思われます。

これが実印で、銀行印はそれよりも一、二割ほど小さく作ります。同時に同じ材質で製作するので大きさの違いにより区別をつけるためです。そして三文判や訂正印はさらに細く、これらは姓のみが主流ですので大きさはそれに比例しているといえるでしょう。

偽造を防ぐ書体

どうしてはんこが作られるのかというと、当人である者が他者となんらかの約束事を結ぶ証のためです。本人確認のための重要な道具のため、世の中にそれは二つと存在してはならず、当人がそれを保管していなくてはなりません。他人がそっくりなそれを所有して使用すると証の効力は失われます。唯一つの真似のできないものが求められるのです。

事前の防衛策として印鑑証明がありますが、これのほかにも取りうる手段に文字の形があります。印相体という文字が実印では一般的です。篆書体をアレンジしたのがこの印相体です。丸の内側に収まらず文字の全景をあえてはみ出した形にして、簡素な篆書体に比べ判別はしにくいのが好まれる理由でしょう。

その人であることを陰影より求めるわけではないのは、いささか印鑑証明をあてにしすぎるきらいもありますが、印鑑証明の取得は当人以外は不可ですので、保管さえ厳重にしていればたとえ判読が困難なはんこが契約書に押されたとしても相手方は証明書に頼るため問題は生じない、というわけです。当人と分かりつつ偽造を防止する複雑な文字は相容れない、反目するのです。偽造に遭わないためには、披露の機会を留めることに他なく、それが困難であるならば、先ほどの通り印鑑証明と判読を諦めた陰影に頼るしかないのでしょう。

材質にこだわる

今までは三文判で済ませてきた方であっても、不動産契約など何かの契約時にはんこが必要になり、改めて正式なものを準備するというのはよくあるケースです。安価で大量生産されている三文判では、身を危険に晒しかねません。悪用される恐れがある場合には、対策を採ることが巻き込まれないための最善であり、事前に手を打つ備えこそ、なにより身を守る術の筆頭でありましょう。

はんこにこだわりを持って選ぶ人は、暮しにゆとりがある人が多いです。町の商店街や中規模のスーパーなどに併設された鍵屋兼はんこ屋で製作を依頼する際、おおむね数千円から数万円の、実印と銀行印のセットが人気です。単体で手を伸ばしにくく、そもそも店に足を向けることそのものが稀なため、価格は二つをあわせてお買い得の品と思わせないと、お店側もお客様を掴み損ねてしまいます。

一般の買い手は材質には、あまりこだわりを持たないのが特徴ですが、たまに百貨店や専門店などではんこを作る機会があると、奮発して象牙、犀角、水晶、金属などの高価な品に手を出す傾向にあります。頻繁に取り出し持ち歩く場面には日頃迫られはしないので、劣化しにくい高価で確かな材質のものを選ぶのは賢い選択と言えるかもしれません。いざ取り出して契約書に捺印した陰影から破損や文字のにじみ、重なりを初めて知るのでは遅いからです。家で一度試し押しをするということはなかなかしません。逆に使う機会がないのであれば、安価なもので済ませるという方法もあります。印鑑を使用する頻度と用途も考えて材質を選ぶと良いでしょう。

新生活の節目にはんこ

住居を移る際、転居先を決めて不動産契約を結びます。その際に必ず必要となる印鑑が実印です。契約を結ぶ側、不動産屋は本人であることの証明に、この印鑑の提示を求めてきます。場合によっては信頼に足りる姿勢を要求することもあります。実印のほか印鑑証明を一緒に、という場合もときにはあるでしょう。

また、毎月の家賃を引き落とす銀行口座の銀行印も求められることもあります。日本で新たに生活を始めるのであれば、まずは実印の製作依頼と印鑑証明の取得が必須となります。サインで済ませることができる外国とは大きく異なる点です。偽造が筆跡により簡単に見破れることが採用の理由ですが、それは印鑑にも言えることで、持ち歩く手間が厄介で面倒だという人は少ないです。持参を求められていたのに家においてきた、いざ使用するときに限り、手元にはない、このようなケースはまれでしょう。誰しもが自分の印鑑は家に保管をしているものです。印鑑ならびに印鑑証明を製作、取得した暁には保管場の確かな記憶と定期的に通じていなくてはならない、といえるでしょう。

手軽に作られるものから高価なものまで、一生に一度の買い物は価格そして材質も大きく幅を持たせて販売されます。市場は実に細々としているものの、はんこという文化が根強く暮らしに絡む現状を観察するに、おいそれと容易く変容を遂げて、来年度よりサインに統一します、という事態は考えにくいです。ちなみに実印の印鑑登録は未成年でも可能で、十五歳以上であれば保護者の同伴なしに一人で行えます。それだけ社会を生きる若い一人の者にも関わりを強制する、密接な関係がここからも窺えるでしょう。