偽造を防ぐ書体

どうしてはんこが作られるのかというと、当人である者が他者となんらかの約束事を結ぶ証のためです。本人確認のための重要な道具のため、世の中にそれは二つと存在してはならず、当人がそれを保管していなくてはなりません。他人がそっくりなそれを所有して使用すると証の効力は失われます。唯一つの真似のできないものが求められるのです。

書体事前の防衛策として印鑑証明がありますが、これのほかにも取りうる手段に文字の形があります。
印相体という文字が実印では一般的です。篆書体をアレンジしたのがこの印相体です。
印相体は丸の内側に収まらず文字の全景をあえてはみ出した形にしているため、簡素な篆書体に比べ判別はしにくいのが好まれる理由でしょう

その人であることを陰影より求めるわけではないのは、いささか印鑑証明をあてにしすぎるきらいもありますが、印鑑証明の取得は当人以外は不可ですので、保管さえ厳重にしていればたとえ判読が困難なはんこが契約書に押されたとしても相手方は証明書に頼るため問題は生じない、というわけです。
当人と分かりつつ偽造を防止する複雑な文字は相容れない、反目するのです。偽造に遭わないためには、披露の機会を留めることに他なく、それが困難であるならば、先ほどの通り印鑑証明と判読を諦めた陰影に頼るしかないのでしょう。